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PATTERN

— Training Pattern

800名規模の組織における心理的安全性の浸透

リーダーの関わりと現場の対話を変え、2年かけて組織全体へ展開した取り組み

本企業のある事業部(約800名)を対象に、を共通言語として導入し、リーダーの関わり方と現場の対話を変化させながら、2年間かけて段階的に組織全体へ展開した事例をご紹介する。

Challenge

背景・課題

本企業のある事業部(約800名)では、プロジェクト単位での業務推進や高い専門性を背景に、各チームがそれぞれ高い成果を追求していた。一方で、以下のような組織課題が見られていた。

  • チーム内外のコミュニケーションが限定的で、情報共有や相談が十分に行われていない
  • 忙しさや業務負荷の高さから、相互に助けを求めにくい状況がある
  • リーダーの関わり方が個人に依存しており、チーム運営の質にばらつきがある

また、メンバーからは「もっと相談しやすいチームにしたい」「意見や指摘をし合える関係性をつくりたい」といった声がある一方で、実際の現場では遠慮や心理的ハードルが存在しており、チームの力を十分に引き出しきれていない状況があった。 こうした背景から、単なるスキル向上ではなく、チームの関係性や対話の質を高める取り組みが求められていた。

Overview

施策概要

研修テーマ
心理的安全性の向上(対話力・関係性の質の強化)+EQ開発
対象層・人数
事業部全体(約800名)
実施期間
2022年度〜2023年度(2年間)
実施内容
講演会/管理職向け研修/現場実践/効果測定/EQワークショップ

Features

施策の特徴

01

実践を前提とした設計

研修を単なる学習の場ではなく、「現場での実践を前提とした振り返りと再設計の場」として位置づけた。

事前に各チームで対話やアクションを実施し、その内容を研修内で共有・再設計することで、学びと現場を往復する設計とした。

02

データによる状態の可視化

心理的安全性を7つの尺度で定量的に測定し、チームごとの状態を可視化した。

感覚的に捉えられていた課題を共通認識として扱うことで、対話の質を高める土台を構築した。

03

リーダーとメンバー双方へのアプローチ

心理的安全性を「リーダーだけの責任」とせず、メンバーも含めた組織全体のテーマとして設計した。

各階層に役割を持たせることで、チーム全体で関係性をつくる状態を目指した。

04

自走化を促す仕組みづくり

ワーキングチームの発足やベストプラクティスの共有により、組織内で取り組みが継続される仕組みを構築した。

外部依存ではなく、内側から変化が生まれる状態を目指した。

05

内面へのアプローチ(EQトレーニング)

心理的安全性の土台となる「感情や認知の扱い方」にアプローチするため、全社員対象のEQワークショップを実施した。

扱ったテーマ

  • 自己認識
  • 感情コントロール
  • 捉え方の柔軟性
  • 他者への思いやり

さらに日々のログや振り返り課題を通じて、習慣化を促した。

06

2年計画による段階的展開

初年度は共通言語の形成と実践、2年目は測定と自走化という、2フェーズ設計で事業部全体へ浸透を図った。

2022年度(導入・実践フェーズ)

  • 講演会による共通言語の形成
  • 管理職向け研修による関わり方の見直し
  • 各チームでのパーパス(目指すチーム像)とアクションの設定
  • 7つの尺度を用いた心理的安全性の可視化

2023年度(拡張・定着フェーズ)

  • 未実施チームへの展開(面での拡張)
  • 3ヶ月ごとの定点測定と振り返り
  • ワーキングチームによる自走的な推進
  • ベストプラクティスの収集・共有
07

研修の様子

講演会/管理職研修/EQワークショップ、それぞれ現場実態に即した設計で実施した。

講演会では、心理的安全性の定義や重要性に加え、具体的な行動や対話の進め方を提示。現場の実態を踏まえた双方向のコミュニケーションを重視し、共通言語の形成を図った。

管理職向け研修は対面形式で実施し、チェックインや対話、フィードバックを通じて、心理的安全性を体験的に理解する場を設計。事業本部長によるトークセッションでは、現場の課題や本音が率直に語られ、参加者にとってリアリティのある学びの機会となった。

EQワークショップは、イブニング開催・任意参加とすることで自主的な学びの場を創出。参加者は日常の出来事を振り返りながら、自身の感情や思考の傾向を見つめ直し、実践につなげていった。

Results

成果(研修後アンケートより)

2年間の取り組みを通じて、各チームごとの浸透度合いに差はあるものの、組織全体として関係性や対話の質に前向きな変化が確認された。

定量・定性の両面で以下のような変化が見られた。

01

定量的な変化

  • 心理的安全性の各尺度において改善傾向が見られた
  • 特に「助けを求めやすさ」「指摘し合える関係性」において向上が確認された
02

定性的な変化(高いチーム)

  • 相談や質問が自然に行われるようになった
  • ミスやトラブルをチームで解決する風土が生まれた
  • 感謝や声かけなど、日常のコミュニケーションが活性化した
03

一方での課題(低いチーム)

  • 業務負荷が高く、対話の余裕がない
  • リーダーの関わり方によって雰囲気が大きく左右される
  • 否定や遠慮といった心理的ハードルが残る

これらの結果から、心理的安全性は一律に高まるものではなく、チームの状態や余裕度によって浸透度に差が生じることも明らかとなった。

Conclusion

まとめ

本施策は、心理的安全性を単なる概念として導入するのではなく、現場の対話や行動に落とし込みながら、2年にわたり組織全体へ展開した取り組みである。 初年度は共通言語の形成とリーダーの意識変革を中心に実施し、2年目には実践・測定・共有のサイクルを強化することで、組織全体への浸透を図った。さらに、EQトレーニングを通じて個人の内面にも働きかけることで、関係性の質や対話力を支える土台の強化にも取り組んだ。 その結果、「話しやすさ」にとどまらず、助け合い、指摘し合いながら成果を生み出すチームへの変化が見られた。 一方で、組織の状況やチームごとの状態によって変化の度合いには差があり、心理的安全性の定着には継続的な取り組みが必要であることも示唆された。 本事例は、心理的安全性を起点に、組織と個人の両面からアプローチすることで、関係性の質と組織の対話力を段階的に高めていくプロセスを示したものである。

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