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グーグルが発見!成功するチームに共通する「心理的安全性」のつくり方

AJ編集部2024/02/07
グーグルが発見!成功するチームに共通する「心理的安全性」のつくり方

成功するチームをつくりあげる5つの鍵

心理的安全性が注目を集めるようになったのは、グーグルが発表した、あるレポートがきっかけであったといってよいでしょう。

2015年11月、グーグルは自社の情報サイト『re:Work』上で、アメリカの大手通信社であるAP通信(Associated Press)との共同研究の成果として、「チームを成功へと導く5つの鍵」を発表しました。
 
この5つの鍵について、少し補足を加えながらみていきましょう。

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グーグルのレポートには、心理的安全性はチームの成功に最も重要な要素であり、その他の4つ(信頼性、構造と明瞭さ、仕事の意味、仕事のインパクト)を支える土台であると綴られています。

たしかに海外で大きな成功を収めているビジネスチームのメンバーに、お互いの関係について尋ねると、多くの場合こんな答えが返ってきます。

「言葉ではうまく説明できないけれど、とにかくしっくりくるんだ。正直なところ何度か辞めようと思ったこともある。それでも離れられなかった。こんなつながりは他では手に入らないよ。チームは自分にとって兄弟も同然だ」

「理屈ではありません。理屈で判断する人の集まりだったら、こんなことは不可能です。ここで起きているのは、チームを超えたチームワーク。チームを飛び越え、周りの人たちの人生にも影響を与えている」

「とにかくすばらしい気分だ。大きなリスクを取っても、最後には仲間が支えてくれると分かっている。もうメンバーの誰もが、この感覚の中毒になってしまっているよ」

「家族のようなつながりを何よりも大切にしている。そのおかげで、より大きなリスクをとることができるし、お互いを許すこともできる。それに自分の弱さをさらけ出すこともできるんだ。この関係は、形式的なつながりでは絶対に手に入らない」

それぞれの言葉からは、5つの鍵につながるものが感じられることでしょう。

さらにこういったチームには、次のような特徴(特有のパターン)がみられます。

・お互いの物理的な距離が近い。よく輪になっている
・アイコンタクトが多い
・活気のある短い言葉のやりとりが多い(誰かの長いスピーチではない)
・仲のいい小さなグループで固まらず、誰もがメンバー全員と会話する
・人の話をさえぎらない
・質問をたくさんする
・人の話を熱心に聞く
・ユーモアと笑いがある
・「ありがとう」という など

成功しているチームでは、メンバー一人ひとりが自分を飾らず、自らをさらけだしてよいのだという安心感が確保されている、つまり、ありのままの自分の居場所があるということがうかがえます。これは5つの鍵の土台となる心理的安全性がしっかり確保されているということです。

なぜ「心理的安全性」が必要なのか

ところで、なぜ今この心理的安全性が求められるようになったのでしょうか。

現代はVUCA時代と称されています。テクノロジーの発展やデジタル化の進展によって引き起こされるデジタルトランスフォーメーションを背景に、今後30年で起きる変化は、産業革命以降の変化としては最大級のものになるといわれています。
VUCA:Volatility(変動性)/ Uncertainty(不確実性)/ Complexity(複雑性)/ Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもの

だからこそ、私たちはビジネスモデルを根底から見直すタイミングに直面し、どの企業にもイノベーションが求められています。しかし、イノベーションには失敗がつきものです。人は不安や恐れを感じ、失敗するかもしれないと思えば、新たな一歩を踏み出しにくくなります。そこで必要となるのが心理的安全性だというわけです。

そもそも心理的安全性は、1999年にハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)教授により提唱された概念のことで、単に皆が仲良く心地良い雰囲気をつくるということではなく、目的達成のために、チームのなかでより率直にものがいえる状態をつくるというものです。

ミスを犯したとしても非難されるようなことがない、安心してリスクをとりにいくことができる「心理的安全な状態をつくること」が、チームの成功にとって大切だというわけです。

エドモンドソン教授によれば、次の7つの設問により、チームの心理的安全性を測定することができるといいます。

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これらを自分のチームに当てはめてみるとどうか、ぜひ考えてみてください。

ただし私たち日本人には、仕事に対する強い責任感と、他者を気遣う心を持つという特徴があります。この誠実で思いやりのある国民性は、様々な場面でプラスの効果を発揮しますが、不確実なことに対して過度に慎重となることや、フラットでオープンな自己開示が苦手であることなどから、心理的安全性が高まりにくいという点に注意が必要です。

どうすれば心理的安全性がつくれるのか

ではいったいどうすれば、チームに心理的安全性がつくられるのでしょうか。
残念ながら、心理的安全性は一朝一夕につくられるのものではなく、時間をかけて熟成されるものです。そしてそのためには、リーダーの意識と行動に変化を促すことが必要なのです。
そこで、リーダーに必要な4つのポイントをお話ししておきましょう。

1.多様性を受け入れる

メンバーとの心理的安全性を育むためには、人の感覚はそれぞれ違うということを念頭に、個別に対応することが大切です。リーダーが自分に都合のよいパターン認識でメンバーと接し、効率を優先してさばくといったコミュニケーションをとれば、メンバーは自分のことを理解してくれないと感じることでしょう。
メンバーが10人いれば、コミュニケーションのプロセスも10通りあります。多様性を受け入れ、個別に対応していく姿勢が重要です。

2.安全な環境をつくる

人類は誕生以来、群れのなかで生活してきました。そのため、しぐさや視線といった非言語は言葉よりも早く生まれ、人はそれを感知する能力を発達させてきたわけです。
エドモンドソン教授も「人間の脳は対人関係のシグナルを読みとる能力がとても高い。脳には、自分は他の人からどう思われているだろうと常に心配している部位があり、特に自分より上の立場の人からの評価を気にしているのだ」といっています。
安全な環境をつくるためには、リーダーの何気ない非言語から発せられるシグナルが重要です。物理的な距離、しぐさや視線を通じて次のようなシグナルを送り続けるべきです。

1.Inclusion メンバーを独自の存在と認め、尊重している
2.Relation 目の前で起こっている他のメンバーとの交流を大切にしている
3.Engagement 関係はこの先も続くというシグナルを出す

しかし、日々の業務に追われ余裕のないリーダーは、正反対のシグナルを送りがちです。

今どきの新人や若手は褒めればいいだろう……、自分の仕事で精一杯なのにメンバーとの対話なんて……、何でメンバーに恵まれないのか……、などと思っていれば、何気ないしぐさや視線などからその心の声はシグナルとなって伝わり、安全な環境を脅かしてしまうのです。

自分にとっては、何気ないしぐさや視線かもしれませんが、相手には本音(心の声)が伝わってしまうことを理解しておかなければなりません。

3.弱さをみせる

先ほどのリーダーの心の声は、裏を返せばそのリーダーの「弱み」ともいえます。今どきの新人は褒めておけばいいだろう……というのは、年が離れた新人の気持ちがわからないので育成できるかどうか不安だ、という気持ちの表れかもしれません。

リーダーは強くなければならないという思い込みから、弱みを隠しがちのリーダーが多いのですが、心理的安全性をつくるには、先にリーダーが弱さをみせることが大切なのです。

単なる慣れ合いのような関係を想像するかもしれませんが、それはまったくの誤解です。助けが必要だという明確なメッセージになるからです。それが当たり前になれば、チームのなかの不安や恐怖が消え、互いに信頼し協力するようになっていくのです。

4.共感できる物語を持つ

心理的安全性の高いチームは、共通の価値観や目的がはっきりとした、メンバーが共感できる物語を掲げているケースが多くみられます。数字を掲げ、メンバーを鼓舞する従来のような目標ではなく、メンバーが共感できる物語、キャッチフレーズのようなものをつくっているのです。

例えばある保険会社では、心理的安全性の低いチームが「売上前年比150%を達成しボーナスを山分けしよう」という目標を掲げた一方で、心理的安全性の高いチームは「あなたに会えてよかったとお客さまに感じてもらおう」という物語を掲げていたといいます。

もちろんこの違いだけで、仕事の形が変わることはないでしょう。ただこの心理的安全性の高いチームでは、確固とした目的意識が共有されるはずです。

目的意識を高めるには、自分たちが提供するサービス(What)ではなく、自分たちがなぜそのサービスを提供するのか、どういう思いを持っているのか(Why)、自分たちは何者なのか(Who)ということをメンバー同士が語り合い、誰もが共感し伝わる、シンプルな物語が必要です。こういったことの繰り返しから、目的を持った心理的安全性の高いチームがつくられていきます。

以上、4つのポイントの重要性をご理解いただいたところで、これらを実践するために必要なことを一つ付け加えておきましょう。

リーダーは組織のイノベーションに向けて、多様な人材を動機づけし、彼らを活用していかなければなりません。しかし多くのリーダーは、視点を相手(メンバー)にばかり向けてしまい、どう相手を理解し、受け入れるのかということにばかりとらわれがちです。

こんなときこそ、ゼネラル・エレクトリック社の改革により、伝説の経営者といわれたジャック・ウェルチの名言を思い出すべきでしょう。

リーダーに大切なことは「Self-awareness」(自己に対する気づき)だ。
他者に対して影響を与え、リーダーシップを発揮しようとするならば、
その影響を与えようとしている自分が何者であるのかを十分に知った上で、
影響力を使わねばならない。
                                                         - ジャック・ウェルチ

ダイバ-シティを推進し、組織イノベーションを起こすうえで、究極的に必要なことはSelf-awarenessです。だからこそリーダー自身が、自分の良さや価値観、being(自分らしさ)を理解しているかどうかが、組織イノベーションの原点になることでしょう。

説明してきたように、成功しているチームは「心理的安全性がある」という点で共通しています。そして、この心理的安全性を高めるにはリーダーのSelf-awarenessこそが、最も重要なことです。

これらを十分に理解したうえで、自らのチームの心理的安全性を高め、あなたが直面しているビジネスシーンでイノベーションを実現していただきたいと思います。

*参考情報
[書籍]ダニエル・コイル 著,楠木建 監訳,桜田直美 訳『
THE CULTURE CODE ―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法』かんき出版
[WEB]
re:Work


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AJ編集部

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