窪田講師執筆『月間総務』企業内大学制度~社内講師の育て方~ vol.3

ここからは、社内講師が実際に研修を担当する際の、具体的なポイントを体系立ててご紹介します。
研修内製化の成功の要因の一つに「質の高い研修の提供」があります。私は研修会社という立場で仕事しながら、人事・研修部門がイニシアチブを取って行うこのムーブメントが、コストカットのための一時的なもので終わるのではなく、他部門からも称賛され、継続してほしいと願っています。私が仲間の講師陣とともに、これまで業種業界問わず約1,000社以上・10万人以上に実施してきたプロフェッショナルの研修運営のノウハウの概要を解説します。
心をつかみ、影響力を発揮する研修の流れ
講師力はリーダーシップと捉えられる、と前述しましたが、リーダーシップとは人への影響力に他なりません。そして、そのためには受講者の心理の流れに先手を取って、働きかけ、行動変容までをリードしていく「全体の流れ」をイメージすることが大切です。それが以下の図の実施フェーズ「1:GRIP」→「2:LEAD」→「3:ACT」の流れになります。この流れをまず押さえることが、実は効果的な事前準備をするためにも欠かせないことなので、まずは実施フェーズをご紹介します。
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1:GRIP 立ち上がりで心をつかむ
研修スタート時点の受講者の心理に思いをはせてみましょう。やるきでいっぱいというよりも「研修か、面倒くさいな」「自分の仕事の案件が気になって・・・」といった、どちらかというと後ろ向きの心理が強いことが多いのではないでしょうか。そこでGRIPが必要になります。
まずはテクニック❶「警戒心を解くあいさつと全体像の伝え方」です。「この講師、この研修テーマなら、学ぶべき点がありそうだ!」と受講者の警戒心を解き、興味を引き出す立ち上がり意識しましょう。そしてテクニック❷「参画意識を高める研修への巻き込み方」です。立ち上がりには、アイスブレイク、ペアワーク、グループワークを活用し、一気に和やかな雰囲気、受講者同士の打ち解けた状況を作り出すことに注力しましょう。
当たり前のように聞こえることであり、かつ、研修全体においては、ほんの少しの時間帯なのですが、決しておろそかにせず、十分に練り込んでおきましょう。
2:LEAD 心に寄り添い導く
立ち上がりで心をつかんだところで、研修の本題に入っていきますが、たとえば一方的にレクチャーを続けていても、すぐに受講者は気をそらしてしまうものです。
では、受講者の興味や集中を維持するには、どのようなことが効果的でしょうか。まずテクニック❸「運営の工夫で受講者を主人公にする」ことを意識しましょう。主人公は講師ではありません。気持ちよくベラベラ喋っているだけでは受講者の参画意欲を引き下げるので、ワークやツーウェイレクチャーなどの運営手法を駆使して、受講者を主人公にする研修を作ることです。そしてテクニック❹「惑わせないリードし続ける」、細部まで気を配った適切な指示だし、休憩時間のタイミングなどで、受講者を惑わせない運営を意識しましょう。テクニック❺「集中を妨げないでリードし続ける」、無くて七癖といいますが、講師自身が気づいていない、無意識の癖に気づき、排除し、受講者の集中を妨げない運営をしましょう。
その上で、受講者に研修内容を落とし込むには、どうしたらいいでしょうか。テクニック❻「理解が深まるレクチャーの組み立て方」を徹底しましょう。基本はQ・PREP話法というものです。
Qクエスチョン(問いかけ)⇒Pポイント(要点・結論)⇒Rリーズン(理由・根拠)⇒Eイグザンブル(事例・実例)⇒Pポイント(要点の繰り返し)
この手順でレクチャーを組み立てることで受講者にとっての納得感が高まります。また、テクニック❼「右脳に効く!イメージの伝え方」では、ストーリー性豊かな事例や、スライド、ジェスチャー、板書の視覚効果を駆使することで、受講者の左脳だけでなく、右脳に訴え、記憶に残る工夫を意識することにより良いでしょう。そしてテクニック❽「頭をスッキリ、学習ポイントの整理の仕方」では、適時、学習ポイントのまとめを入れ、そもそもの研修目的のリマインドなどを行い、受講者の頭の中をその都度スッキリ整理擦り事で、研修内容が落とし込まれます。
3:ACT 現場の行動化を支援する
さて、ここまで内容を落とし込んだところで、実施フェーズのクロージング段階です。現場で実践されてこそ、研修は意味がありますので、下記を意識した運営を行いましょう。
テクニック❾「記憶を定着させるティーチ&ラーン」は非常に効果的です。ティーチ&ラーンとは読んで字のごとく、教えることで学ぶ手法です。数分でかまわないので、受講者同士に講師役になってもらい学びのポイントを相互にレクチャーする時間を作ります。受講者が主体的に復習をし、学びが記憶に定着することで行動変容の前提になるのです。またテクニック❿「実践への一歩を踏み出させる方法」では、研修後に何をするか、行動の絞り込みなどを行い、受講者の行動変容を着実なものにしていくことにつながります。
社内講師の初歩的な失敗でよくあるのが、時間いっぱいになってしまい、最後に駆け足で終わってしまう、ということです。この実施フェーズ3までを見据えたタイムラインで、しっかり研修を設計しておくことが大切です。
著者のご紹介
About the Author

Instructor
窪田 晃和
エグゼクティブトレーナー / 日本プロフェッショナル人材開発支援協会理事
1974年埼玉県生まれ、立教大学出身。子ども向け教育教材の営業でトップセールス、マネジャー を経験。その後、現場感覚に寄り添う研修講師・コンサルタントとして、20年以上に渡り研修講師や組織開発コンサルティングを行う。官公庁、メーカー、IT、人材サービス、非営利法人など幅広い業界にお役立ちを提供。特に実践版レジリエンス研修では、日本一の導入実績・評価を誇る。専門領域はレジリエンス、心理的安全性、それらを生み出すリーダーシップの発揮。また、…
著者
窪田 晃和
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