窪田講師執筆『月間総務』企業内大学制度~社内講師の育て方~ vol.1

「これから研修を内製化にシフトしていきたいと膏えています」「今年度から研修を内製化するようにと役員より指示がありました」。ここ最近そのような言葉を、人事・研修部門の担当者からよく聞きます。今まで外部のプロ講師に依顆していた研修を、社内講師が担当していくことが研修内製化。そこを一歩道め、企業内で〇〇ユニバーシティ、〇〇アカデミーといった組織化を行うことを企業内大学制度と表現しますが、それらの動きの活性化が今、注目されています。
注目を浴びる研修内製化とは?
2008年のリーマンショック以降、大手企業を中心に戦略人事を掲げ、研修の内製化へ真剣に取り組む企業が増え、今では、企業内大学制度や社内講師認定制度を作り、現場の優秀な営業パーソンや技術者を社内講師として巻き込みながら、研修の内製化に成功している企業も出てきています。
その一方で、決して前向きではない研修会社や人事・研修部門の方もいるようです。たとえば、「単にコストカットのためでしょ。社内でやっても、うまくいかないよ」などと思っている方もまだ多いのが実情です。私は、企業内大学制度=研修の内製化をいくつも企業で支援してきました。今回は「どうすれば内製化がうまくいくのか」ということについて、そもそも内製化の成功の鍵を握っている社内講師の育て方、社内講師が研修を担当する際の具体的ポイントといった観点から実践的なノウハウをご紹介します。
研修内製化、その真のメリットとは?
まず、内製化のメリットは何かを考えたときに最初に思い浮かぶのは、外部の研修会社から講師を派遣する際のコストをカットできる、という側面でしょう。ただし、それだけではない、いわば真のメリットをよく理解しているかどうかが、内製化が成功するか否かの、一つ目の分かれ道となります。以下、三つの観点でメリットを提示します。
内製化で、人財開発=競争優位性のコアを確立する
すべての企業は、お客さまへの貢献できることは何か?を考え、より質の高い価値をお客さまに届けるために、一連の企業活動を行っています。
これらは他社との競争優位性を保つための重要な資源とするため、部分的にはアウトソーシングをしても、根幹部分は自社の社員が多大な時間や資金をかけて行うものです。つまり、内製化しています。
それでは、それら企業活動の源泉となるものは何でしょうか?もちろんそれはヒト、つもり「人材開発」です。人材開発こそ、他社との優位性を生み出し、保つための最重要な資源です。だからこそ、社内講師育成などに初期投資をかけ(結果的・中長期的にはコストカットになるけれど)、機能化させるプロセスを通じ、人材開発=競争優位性のコアを確立していけることが、研修内製化のメリットなのです。
内製化は、研修の質と受講者の行動変容度を高める
研修を外部のプロ講師に依頼する理由は、受講者へのインパクト(影響力)が大きいということがあると思います。それなりの講師であれば研修の満足度も高いスコアを出すでしょう。
しかし、受講後の行動変容度はどうだったでしょうか。たとえば、営業研修で「現場の実情とはちょっと違うな」、リーダー研修で「あの講師はリーダーの経験が本当にあるのかな?」などと、モヤモヤとした疑問が残ってしまうと、内容も腑に落ちず現場での行動が変わらないことになります。
そうであるならば、現場で実力のある営業担当者や、リーダー経験者に社内講師として担当してもらった方が、実践に有用なノウハウが提供でき、納得度が高まり、行動変容にも必然的につながるはずです。また、社内講師は社内に在籍しています。受講者から相談したり、社内講師からフォローしたりと、行動の継続性が高まる効果もあります。
ただし、社内講師は、研修運営のプロではないため、レクチャースキルや、ファシリテーションスキルを高める場を、人事・研修部門から提供することが必要です。また、外部のプロ講師は、テーマを絞って気づきを与えたい時に部分的に活用していくなど、内製化と外部講師のバランスを考慮すれば、企業にとってより相乗効果の高い人材開発につながるでしょう。
内製化をリーダー育成の機会として活用する
最後に、マネジメント・リーダーシップの観点から考えてみましょう。
今、激変する環境変化に対応していくために、決まったことを管理する・権限で動かすような従来のマネジメントスタイルから、共感で心をつかむ・相手の主体性を引き出すリーダーシップスタイルへ変革に力を入れている企業も多いと思います。
実は、未来のリーダーを育てる目的で社内講師を担当させる企業が増えてきています。なぜなら、講師の本質的な役割は何か?という観点から考えると「講師力=リーダーシップ」、という捉え方ができるからです。研修という場で、役職や肩書に関係なく、つまりタテの関係でなくヨコの関係から、受講者に影響を与えて行動変容を促進するのが講師の役割です。すなわち、社内講師を担当するということは、自らのリーダーシップを鍛えることにほかならない、といえるのではないでしょうか。
著者のご紹介
About the Author

Instructor
窪田 晃和
エグゼクティブトレーナー / 日本プロフェッショナル人材開発支援協会理事
1974年埼玉県生まれ、立教大学出身。子ども向け教育教材の営業でトップセールス、マネジャー を経験。その後、現場感覚に寄り添う研修講師・コンサルタントとして、20年以上に渡り研修講師や組織開発コンサルティングを行う。官公庁、メーカー、IT、人材サービス、非営利法人など幅広い業界にお役立ちを提供。特に実践版レジリエンス研修では、日本一の導入実績・評価を誇る。専門領域はレジリエンス、心理的安全性、それらを生み出すリーダーシップの発揮。また、…
著者
窪田 晃和
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