アップデートとは「対象についての自分の認識が、これまでとは変わること」です。
言い換えると、対象に対して自分が抱いていた価値を見直す(再定義する)ということになります。
例えば、今までは
「仕事って、生活のためにやっているだけでやりがいは全く感じない」
「仕事って、目標数値と目の前のタスクに忙殺され続け、辛くて苦しい」
と思っていたことが、
「仕事って、自己表現することで多くのお客さんに喜んでもらえるからやりがいを感じる」
「仕事って、社会課題に向かって仲間たちと喜怒哀楽を共有できるからおもしろい」
と対象への認識が変わり、自分の考えとして伝えられるようになることです。
この仕事観をアップデートさせるには、キッカケとして本や研修、他者の観察や周囲からの アドバイスもあるかもしれませんが、最終的には体験です。
では、どんな体験を積み重ねると仕事観をアップデートできるの?ということで、 その物語は十人十色、人それぞれですが、そこから本質的な要素のみを抜き出してシンプルに まとめるとこんなサイクルになりました。私たちはこれを「よりよい仕事体験」と呼んでいます。
少々暑苦しいかもしれませんが、よりよい仕事体験の解像度が少しでもあがればと思い、13の問いとキーワードを交えて物語風にまとめてみましたので、ご興味のある方は読んでみてください。
テーマ①
よりよい仕事体験のはじまりは「一歩踏み出す」です。
自分の好奇心に素直にしたがい、やってみたい! やってみよう! と自らの意志で一歩踏み出す。
どんな小さなことでもOK。自ら選択することからよりよい仕事体験がスタートする。
1歩踏み出すキッカケを与えてくれるのが好奇心です。子どもの頃は周囲のことはあまり気にせず、好奇心に従い無邪気に行動していた。でも、大人になるにつれて周囲や世間の引力に引っ張られがちになり、好奇心にフタをすることがついつい増えてしまう。
これ何か興味がある!前からすごく気になっていた!なんかそれハードル高そうだけど面白そう!何か自分でもできることあるかな!好奇心にしたがい、もう少しわがままに選択してもいいのかもしれない。
1歩踏み出すために欠かせないのが、今そこが心理的安全な場であるかどうかです。子どもの頃はのびのびチャレンジできたのは、家族が心理的安全性をつくってくれていたから。
立場や経験に関係なく自分の意見を率直に言うことができる!自分がやりたいと言ったことを応援してくれる!チャレンジした失敗は歓迎してくれる!そんな心地よい居場所があるからこそ、もっと高く飛ぶことができる。
好奇心にしたがい1歩踏み出し、自己完結で終わるものは趣味の領域かもしれない。一歩踏み出した遠いその先に、ボンヤリと誰の役に立てるのかな?どんな貢献ができるのかな?つまり、自分にとってのお客さんを想像してみる。そのお客さんは、顧客だけに限らず、チームメンバーや他部署、SDGsのような社会課題かもしれない。その想像を掻き立てるには、いろいろな情報や人に触れてみよう。
テーマ②
自分の好奇心にしたがいチャレンジするとなぜか不思議と壁がおとずれる。人がワクワクや、やってみたい!と思うことはいつも、自分の枠の外にあることだから当然かもしれない。ついつい逃げ出したくなることもあるが、その壁に真摯に向き合うことがよりよい仕事体験につながる。
一歩踏み出した瞬間は充実感も高まり、すごく楽しい。でも、その先に不思議と訪れるのが困難。
頭では分かっていても、いざ困難に直面すると思うようにいかず、あきらめてしまいそうになる。そんなとき「あきらめたらそこで試合終了だよ」がこだまする。
でも、よく考えてみると「新たなチャレンジだからうまくいかなくて当たり前。途中で何度つまずいても・失敗してもいい、それよりも大事なのは何度でも立ち直ること」とマインドセットしよう。
困難に直面すると、うまくいかないことの連続で落ち込んでしまうことは誰にでもあること。そんなとき、うまくいかないことを全て他責にして、思考をSTOPさせてしまうのはもったいない。落ちこむときはとことん落ち込めばいい、愚痴を吐いてもいい、言い訳してもいい、気分転換してもいい。
目の前の困難を乗り越えていくために、今の状況から目をそらさず、思考さえ停止させなければ、多少時間はかかってもふとした瞬間に何か浮上するキッカケが必ず現れ、ブレイクスルーする。
テーマ③
よりよい仕事体験の主演・脚本は自分。壁がおとずれた時こそゲーム感覚で楽しんでみよう。今の自分のレベル(資質、スキル、経験値、人脈など)を客観視し、壁を乗り越える方法を考えて、実行する。自分の持てる力を出し切り、自分なりのやり方で乗り越えたときにレベルアップする。
困難を乗り越えるには、もちろん会社の資源もフル活用していくが、最後は自分。会社の背番号を外し、今自分が持っている資源や能力を最大限発揮して、困難を乗り越えていく。
自分の強みは?これまでの経験で得た情報、知識、スキル、人脈は?そもそも顧客の課題は?さらにどんなインプットをすれば?自分が大事にしたい世界観は?自己認識を深めるなかで気づく自分らしさこそが困難を乗り越えるときの大きな力となる。そして、自分なりのやり方で乗り越えたとき…未知の自分に出会える。
どう頑張っても、今持っている自分の力では乗り越えられない困難にも遭遇する。そんな時、プライドが邪魔して、弱さや脆さを隠そうとし、自分だけで抱えこもうとする。
でも、自分のプライドを守ることとお客さんの役に立つこと、どっちが大事だろう?少し勇気はいるかもしれないけど、自分の弱さを認めて、「Ineed your help」を発信しよう。世のため人のために向かって必死でもがいているときのSOSサインは必ず誰かが見てくれている。
自分が本当に困ったときに、そっと手を差し伸べてくれる人は周囲にいますか。言い換えれば、自らの積極的な関わりにより、そんな人間関係を育むことができているか。この人間関係は、困難を乗り越えるときの心のサポーターとなり、大きな力になる。いざ、困難を乗り越えるときに力になるのは、自分と真逆のタイプの人かもしれない。
自分と相手との違いを楽しみ、社内外の多様なネットワークを構築しよう。
テーマ④
よりよい仕事体験のひと区切りはお客さんからの承認や感謝。この瞬間にこれまでの努力や苦労が喜びにかわり、この喜びが次のよりよい仕事体験への原動力となる。この瞬間だけは、謙虚さは捨て、頑張った自分をしっかりほめてあげよう。
自分らしくやり抜いた結果、お客さんが喜ぶ姿や安心する姿を目の当たりにする。
また、お客さんから承認と感謝のフィードバックをもらう。この瞬間だけは謙虚さを忘れ、相手の表情や言葉を素直に受けとり、照れくさいかもしれないけど、自分で自分をほめてあげよう。この喜びが次のチャレンジへの原動力になる。
お客さんが喜ぶ仕事をしたときの報酬を見過ごしていないかな。報酬と聞くと、お金やポストがすぐに思い浮かぶかもれない。もちろん、お金も大事。でも、もっと深いい報酬がある…それは次の仕事である。
喜んでくれたお客さんがさらに面白い仕事を依頼されたり、その働きぶりを見ていた人やその事実を聞いた人から仕事が舞い込み、新たな体験に向けて一歩踏み出していく。
テーマ⑤
よりよい仕事体験を積み重ねるなかで、お客さんへ貢献できる何かが見つかり、揺るぎない自信を得ることができたとき、自分が駆け抜けた道を振り返ってみよう。存在意義や仲間、成長や喜びなど、仕事が自分の人生において大切なものを与えてくれたことに気づいたとき、仕事観がアップデートする。
お客さんへ貢献できる何かがハッキリと見えてくると、揺るぎない自信が得ることができる。今の自分から過去の自分を振り返るとどうだろう。
無意識にできることが増えていないか?多様な人と関係性をつくれるようになっていないか?喜んでくれるお客さんや任せられる仕事の領域も広がっていないか?仕事もゲームやスポーツと同じで、上手くなると自己コントロール感が高まり、おもしろくなる。
過去の自分は、仕事はつらいとか、気取って仕事は楽しい!とか言っていたかもしれない。
でも、喜んでくれるお客さんや任される仕事の領域が広がっていくうちに、働く目的が、自分や家族のため → チームや会社のため → 顧客のため→ 地域や社会のためへとどんどん大きくなっていき、自分の影響力に広がりを感じたとき、自分が世の中に伝えたいメッセージや存在意義がボンヤリと見え始め、仕事の本当のおもしろさに気づく。
自分が駆け抜けた道を振り返りながら、主観的に「仕事とは?」を捉え直してみよう。
仕事が与えてくれたものは何だろう?その渦中にはつらい、しんどい、避けたい気持ちもつきまとう。
でも、そんな弱い自分も受け入れながら、乗り越えた先に出会えるものは、自分らしさ、自己効力感、仲間、周囲からの承認、感謝される喜び、社会とのつながり、働く目的、成長実感、自分の居場所 などなど。仕事が与えたくれた大きなものに気づいたとき、仕事の奥深さを感じ、仕事観がアップデートする。
おそらく、この先に出会う仕事は、違った景色に見えるだろう…
LIFE GOES ON!
よりよい仕事経験を通じて仕事観をアップデートし、人生を楽しもう
「13の問いとキーワード」INDEX
Curiosity(好奇心)
psychological safety(心理的安全性)
Customer Obsession(顧客志向)
Resilience(立ち直る)
Ownership(当事者意識)
Self-awareness(自己認識)
Authenticity(誠実さ)
Relationship(関係性)
Feedback(承認)
Vitality(活力)
GROWTH(成長)
PURPOSE(目的)
JOB CRAFTING(仕事の再定義)